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パーキンソン病の重症度分類として用いられているYahrの重症度分類の正式名称は,「Hoehn-Yahrの重症度分類」であり,1967年にHoehn MMとYahr MDが医学雑誌「Neurology」内の論文でパーキンソニズムの重症度分類として用いたのが最初である(表)1).この分類は,主に日常生活動作の障害により5つのstageから構成されている.分類のポイントは,stage Ⅰは症状が一側性であること,stage Ⅱは症状が両側性で,バランス障害が伴わないこと,stage Ⅲはバランス障害はあるが自立した生活が行えること,stage Ⅳは日常生活に介助を要すること,stage Ⅴは介助なしでは立つこともできないことである.
Yahrの重症度分類の特徴は,評価自体が非常に簡便なことである.そのため臨床,研究いずれの場面においても,最も利用頻度が高く,国内外に広く認知されている.また,チーム医療の現場では,この分類がパーキンソン病患者の重症度を把握するための共通言語となっている.リハビリテーションではこの重症度分類(病期)によって以下のようにプログラムの方向性を決めることが多い.Stage Ⅰ~Ⅱの時期では関節可動域制限や心肺系機能の低下を予防するためのホームプログラムが理学療法の中心となる.Stage Ⅲの時期では関節可動域に制限が生じてくるため,各関節の可動域運動が必須となる.また,基本動作や歩行の練習,バランスの練習も加わる.Stage Ⅳの時期になると,これまでのプログラムに加え,呼吸練習が必要となる.場合によっては車いすや歩行器,自助具などの導入や家屋改造が必要となる.Stage Ⅴでは寝たきり状態となるため,関節拘縮や褥瘡予防のため関節可動域運動や体位変換が必要となる2).
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