とびら
理学療法評価とEBM
星 文彦
1
1埼玉県立大学
pp.1001
発行日 2008年12月15日
Published Date 2008/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101303
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診療報酬制度が改定されるたびに,根拠に基づいた医療(EBM),根拠に基づいた理学療法(EBPT)の提示を求める声が強まっている.しかしながら,いくつかのsystematic reviewを読むと,理学療法の「根拠」を示すことの難しさを痛感する.
理学療法がチームで行うリハビリテーション医療の一員である現状において,自然科学の論法で理学療法効果の証拠を示せるかは疑問である.特に,脳卒中のような慢性神経疾患の理学療法効果について,自然科学の論法で証拠を示すことは非常に難しい.自然科学の論法には,記述レベルの同一性と因果律が求められる.記述レベルでは,「素粒子→原子→…→有機体→社会→宇宙」という階層構造が想定される.それぞれのレベルでの事象は,そのレベルにおける単位や法則により論理付けられる.因果律とは,一切のものには原因があり,原因なしには何も起こらないという原理であるが,「真の原因」をつきとめることは時に困難である.記述レベルという構成概念に障害構造を,因果律を治療と評価に当てはめると,理学療法効果を示すことの難しさをイメージしやすい.
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