プログレス
透析患者における運動療法
高島 健太
1
,
上月 正博
1
Takashima Kenta
1
1東北大学大学院医学研究科機能医科学講座内部障害学分野
pp.527-530
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101201
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本邦の身体障害者における「内部障害者」の増加は著しく,その中でも腎臓機能障害者は心臓機能障害者についで2番目に多い.本邦の慢性腎不全透析患者数は年々増加しており,2006年末には26万人を突破し,それに伴う透析年間医療費は1兆円以上に達している1).
腎不全透析(以下,HD)患者では,腎機能障害以外にも,心機能低下,筋力低下,筋萎縮が生じる可能性が高く,また貧血などによる運動耐容能低下や,脂質・糖代謝異常,血圧異常,動脈硬化症,神経系機能障害,栄養障害,精神心理異常なども来しやすい.これらの二次障害や合併症により活動量,運動耐容能が低下し,いわゆる廃用症候群に陥ってしまうと,HD患者の日常生活動作(ADL)と生活の質(QOL)をさらに低下させてしまうことが少なくない.すなわちHD患者のADLやQOLを向上させるために,廃用症候群を防止・改善させる対策が重要である.近年,慢性HD患者に対して,運動療法,教育,食事療法,薬物療法,精神的ケアなどの包括的リハビリテーションを行う「腎臓リハビリテーション(以下,リハ)」が提唱されている2).本稿では,HD患者に対する運動療法の効果や内容を概説する.
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