書評
―中川法一(編)―「セラピスト教育のためのクリニカル・クラークシップのすすめ」
木村 貞治
1
1信州大学医学部保健学科理学療法学専攻
pp.834
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101041
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理学療法士,作業療法士の卒前教育においては,養成校における学内教育と臨床現場における臨床実習との一貫した教育体制によって,学生の情意領域,認知領域,そして,精神運動領域の能力を高めていくことが重要となる.しかし,現在,理学療法,作業療法の臨床実習は,量と質の両面において様々な問題に直面している.量的な問題としては,養成校の急増に対してそれに対応できる臨床実習施設や臨床実習指導者が不足していることや,診療報酬制度の改定に伴い学生指導に割ける時間が減少していることなどが挙げられる.また,質的な問題としては,コアカリキュラムが未整備であることにより臨床実習開始前までの教育内容に関する養成校間格差があること,臨床実習における標準的な教育モデルの構築が不十分であるため,臨床実習施設や臨床実習指導者による教育能力の差が大きいこと,そして,従来行われてきた患者担当制では,臨床体験頻度が限られるとともに,積み上げ式教育によって,評価が終了しないと治療的介入に進めないという状況に陥る場合があることなどが挙げられる.
理学療法・作業療法における臨床実習が直面しているこのような状況に対するブレークスルーとして,診療参加型の臨床実習方法である「クリニカル・クラークシップ」が注目されている.しかし,実際の臨床実習においてクリニカル・クラークシップをどのように導入し,どのように進めていけば良いのかという点については十分に理解されていないのが現状ではないかと思われる.
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