特集 外来・通所理学療法
外来・通所理学療法の現状と展望
谷内 幸喜
1
Taniuchi Kouki
1
1医療法人財団尚温会伊予病院リハビリテーション部
pp.793-800
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101035
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はじめに
2006(平成18)年度の医療・介護保険制度における報酬同時改定は,どちらもマイナス改定となった.現行制度を維持すれば,医療・介護給付費の高騰により財源が枯渇し,保険制度が破綻すると国が判断したからである.この制度改革の根幹は,2008年度から開始される「医療費適正化計画」であり,報酬の引き下げや患者(利用者)負担増などを含んだ医療(介護)給付費の伸びを抑制する計画である.この計画には「生活習慣病の予防」と「平均在院日数の短縮」の2大スローガンが掲げられたが,予防で成果を出すには長期間を要することから,短期的には平均在院日数の短縮が最重要課題となっている.この最重要課題(平均在院日数の短縮政策)は,入院中におけるリハビリテーション(理学療法)期間が減るといった単純なものではなく,効果実証において比較的長期間を要する「リハビリテーション医療」というものを根底から揺るがすものと考えられる.今後,公的な医療・介護給付費の抑制が今まで以上に厳しくなることは必至であり1~3),臨床現場にいる理学療法士は,理学療法効果に対して,現時点で具体化できるものを1つでも短期間でかつ客観的に実証していかなければならない時代に来ていると考える.
本稿では,「外来理学療法」と「通所理学療法」について解説するが,2006年の診療報酬改定において,理学療法料はリハビリテーション料と記載されている.2006年度改定の概要(2007年度の疾患別リハビリテーション料点数改定も含む)とその影響を示しながら,両者の具体的課題と展望に関して若干の私見を述べる.
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