特集 病棟理学療法の視点と実践
一般病院における骨関節系疾患の病棟理学療法
齋藤 里美
1
,
齋藤 幸広
1
,
濱野 俊明
1
,
高関 じゅん
1
,
畠中 佳代子
1
,
加藤 理恵
1
,
内田 賢一
2
Saito Satomi
1
1藤沢市民病院リハビリテーション室
2神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
pp.623-630
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100996
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骨関節系疾患に対する理学療法は,早期からの関節運動や離床に向けた動作の獲得による安静期間の短縮が推進されている.当院においても,術式の進歩や内固定材の改良に合わせた早期理学療法の取り組みを,クリニカルパスの利用と共に行ってきた1).理学療法の早期化に伴い,術前術後に病棟で実施する理学療法(以下,病棟理学療法)期間の短縮と,リスク管理を含めたリハビリテーション(以下,リハ)室への円滑な移行が求められている.
一方,早期理学療法に伴う早期退院は,患者側,医療者側の双方にとって利益があるはずである.しかし実際には,患者を取り巻く環境はあまりにも早く進み,ADLの獲得や退院に向けた調整も困難な状況となり,患者にとって必ずしも満足な状態とはいえない.この乖離に対して,リハ室での移動能力の改善と並行して,理学療法士が病棟訪問を行うことが実生活に即したADLの早期獲得に重要な役割を果たす.いわゆる「しているADL」「するADL」あるいはASL(activities of social life)の拡大によるQOLの向上に対するアプローチである2).
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