講座 内科診療における心身医学的アプローチ【新連載】
循環器疾患(1)—本態性高血圧,本態性低血圧,起立性低血圧
菊池 長徳
1
1東京女子医科大学付属第二病院・内科
pp.158-162
発行日 1987年1月10日
Published Date 1987/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220783
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よく知られているように,情動ストレスに対して敏感に反応する系として循環器があり,特に血圧はその際のよい指標となっている.このことはすでにCannonが指摘しているが,何か緊急事態に遭遇した場合,それに対処するため血液の循環を増やすことと関係しているものと思われる.この際,交感神経-副腎髄質系(カテコールアミン)の働きが主役をなしていることも,彼が動物実験で証明している.いわゆる緊急反応である.
一方,Selyeはそのストレス学説において,慢性のストレスに対して脳下垂体一副腎皮質系(コーチゾル,アルドステロンなど)が主に反応することを証明している.いずれにしても種々のストレスに対し,自律神経-内分泌が相互に関係して反応するが,血圧はこの反応状態をよく反映している.
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