特集 “活動”水準を高める理学療法士の専門性
患者の“活動”水準を高める応用行動分析学的介入
山﨑 裕司
1
,
山本 淳一
2
Yamasaki Hiroshi
1
1高知リハビリテーション学院理学療法学科
2慶應義塾大学文学部心理学専攻
pp.467-473
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100827
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
なぜ応用行動分析学が必要か
活動水準が停滞する原因には,身体的側面と行動的側面がある.運動器障害がない患者で活動水準があがらない場合,身体的要因としては,低栄養状態や起立性血圧低下,心不全の増悪などが考えられる.当然のことながら理学療法士は,まず患者の運動機能や全身状態の問題を吟味することを忘れてはならない.しかし,それらには大きな問題がないにもかかわらず活動水準が低く,理学療法士の介入によっても活動水準を高めることが難しい患者も多く存在する.
患者の活動水準を維持・向上するためには,身体的側面だけでなく,患者自身の行動的側面からのアプローチが不可欠である.例えば,廃用症候群の予防のために早期離床が必要であっても,息切れや疲労感を嫌う患者が,医療スタッフの指示に従わず,座ることを拒否すれば,離床プログラムは進行しない.このような時にわれわれは座位の必要性や効果に関する知識を患者に与えることで指示従事行動(以下,コンプライアンス)を得ようとするが,問題はそれほど簡単ではない.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.