特集 緩和ケアとしての理学療法
脳血管障害患者の終末期における実態と理学療法
瀬戸口 佳史
1
,
中島 洋明
1
Setoguchi Yoshifumi
1
1大勝病院リハビリテーション科
pp.925-929
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100685
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はじめに
終末期リハビリテーションについてはこれまで進行性疾患である悪性新生物(がん)やエイズ,筋萎縮性側索硬化症などに対する緩和ケア領域での関わりを示した報告1~5)が主であり,脳血管障害などの長期療養が必要な疾患に対しては今後開拓しなければならない重要な課題であると思われる.
医療の現場,特に療養型病床などでは,重篤な脳血管障害を発症して遷延性の意識障害を来す者,再発を繰り返したり,誤嚥性肺炎や関節拘縮,廃用障害のため,徐々に機能低下が生じ,結果的に寝たきりや,意思疎通も困難となった者が多く存在している.それら脳血管障害の終末期ともいえる患者へのリハビリテーションをどのように実施し,またその個人の尊厳ある終末にわれわれ理学療法士がどのように貢献できるかという具体的な手法を示した報告は少ない.
本稿では,脳血管障害終末期の判断条件として日本脳神経外科学会が1976年に提唱したPVS(persistent vegetative state)6)の定義に基づき,当院での脳血管障害終末期間に関する調査・結果を踏まえ,今後理学療法士が脳血管障害患者の終末期リハビリテーションにどのように関わっていくべきかを述べる.
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