特集 生活機能向上のための理学療法
地域における生活機能向上のための理学療法
金谷 さとみ
1
Kaneya Satomi
1
1介護老人保健施設パステルヴィレッジ小野
pp.529-535
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100512
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加速的な高齢社会とそれを受ける制度変化,疾病構造の推移,予防施策の重視,地方自治促進,価値観の多様化など,変遷する社会の中で理学療法のあり方が問われているが,本質的な部分は世界保健機構(WHO)の国際生活機能分類改定(ICF)以前も現在も同じはずである.生活機能向上は単に生活動作の練習を繰り返すということではない.生活機能に影響を与える心身機能・構造の正確な分析と,従来から理学療法士が取り組んできた研究を生活に結びつけてこそ効果的な生活機能向上が図れるものと考える.もし,理学療法が「生活機能向上」を見逃しているように見えていたのであれば,表現力が不足していたという反省が生まれる.
なぜ,今「生活機能向上」なのか.全人的復権を目指すリハビリテーションが,「生活」する人の「生活機能」を重視するのは当然のことであるが,特に要介護高齢者ではその目的のすべてが生活機能向上であるはずもなく,今こそ冷静に考える必要がある.今回は地域における生活機能向上のための理学療法について,釈然として日常業務に取り組めるよう,身近なことから整理してみた.ICFの正確な分類,解釈については成書を参考にしていただき,ここでは現場に則した考え方について述べていく.
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