特集 難病の理学療法
脊髄小脳変性症の理学療法
佐藤 隆一
1
Sato Ryuichi
1
1小田原市立病院リハビリテーション室
pp.99-108
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100418
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難病(特定疾患)とは,原因不明で効果的な治療方法が未確立,生活面の支障があり,症例数が比較的少ないために全国的な規模で研究しなければ対策が進まない疾患のことをいう1).その中の一疾患である脊髄小脳変性症(spinocerebellar dege-neration;SCD)は,運動失調を主症状とする神経変性疾患の総称であり,臨床,病理あるいは遺伝子的に異なるいくつかの病型がある2).臨床的には,小脳性あるいは後索性の運動失調を主症状とするが,他の神経伝導路や神経細胞群の変性も合併し,錐体路徴候,錐体外路徴候,自律神経症状,末梢神経症状など種々の症状を呈する疾患である.現状では,主症状である小脳性運動失調に関しても,その運動パフォーマンスを反映するような評価法が確立されておらず,理学療法の根本的な治療アプローチは定まっていないため,合併する神経症状や予後予測に基づいての機能低下防止を目標としたアプローチが試みられるにとどまっている.よって理学療法アプローチの治療効果を客観的に判定するための,より簡便な評価基準を設けてSCDリハビリテーションプログラムを構築していくことが,重要な課題であると考えられる.そこで本稿ではSCDの概略を述べると共に当院における理学療法の取り組みを紹介する.
SCDの分類と臨床的特徴
遺伝子診断の発展と共に従来不明だった特徴が明らかにされつつある.以下にSCD病型を孤発性と遺伝性に分けその特徴を紹介する.
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