特集 慢性期脳卒中者の理学療法
慢性期脳卒中者の痙縮に対するアプローチ
竹内 伸行
1
Takeuchi Nobuyuki
1
1本庄総合病院リハビリテーション科
pp.277-285
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100333
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はじめに
慢性期脳卒中者において,痙縮は様々な日常生活動作(activity of daily living:以下,ADL)に支障を来す要因となる.重度になると関節拘縮や疼痛を生じ,容姿に悪影響を及ぼすことも多い.また介護者の負担増も招く.このため対象者や家族の痙縮治療に対する期待や要望は大きい.一方で立位や歩行の立脚期の安定に痙縮が作用していることもあり,必ずしも不都合なものとは限らない.
痙縮の病態は対象者ごとに異なる.同一の対象者でも身体活動状態の変化や,時間帯や精神状態などの変動による内部環境の変化,天候などの外部環境の変化,その他様々な要因の影響を受ける.痙縮の状態が変化することは臨床上よく経験するが,その詳細は明確ではない.また痙縮は中枢神経系の病変に起因するが,慢性期では後述する非反射性要素の影響が大きくなり,その病態はより複雑となる.
痙縮治療に関する様々な報告があるが,科学的根拠に基づいた一定の見解はなく,薬物療法や外科的治療を含めて根治的な治療法は未確立である.本稿では,慢性期脳卒中者の痙縮の病態と評価,さらに様々なアプローチについて近年の報告に筆者らの自験例を交えて文献的考察を行った.
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