特集 ボディイメージ
脳とボディイメージ
泰羅 雅登
1,2
Taira Masato
1,2
1日本大学大学院総合科学研究科
2日本大学医学部応用システム神経科学
pp.1043-1051
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100217
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
はじめに
最近の研究によると,脳内には3種類の身体再現(body representation)があると言われている.1つはボディスキーム(body schema)で,様々な感覚入力(深部感覚,皮膚感覚,前庭感覚,視覚,運動指令の遠心性コピー)を利用して,脳内に体部位の動的な再現がなされている.したがってこの脳内再現は運動系との関連が深い.2つめは,体部位構造記述(body structural description)と呼ばれ,主として視覚情報による体部位の脳内再現があると考えられている.この脳内再現の障害は,自分であれ,他人であれ,その身体の部位を言い当てることができない自己身体部位失認(autotopagnosia)の症状として現れる.3つめの脳内再現はボディイメージ(body image)あるいはボディセマンティクス(body semantics)と呼ばれるもので,体部位の名前,機能などの語彙・意味の脳内再現があると考えられている.また,脳損傷例から,体部位構造記述とボディイメージあるいはボディセマンティクスは左側頭葉に,ボディスキームは前頭-頭頂連合野連関にそれぞれ機能局在していると考えられている.本稿では,頭頂連合野との関連で,この分類でいうところのボディスキーム,特に手の運動に関する神経基盤について述べる.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.