特集 介護予防動向―理学療法士はどうかかわるのか
都市部での介護予防事業の取り組み
粟津原 昇
1
,
新井 久美子
1
,
永井 みどり
1
,
中山 初代
1
,
平川 夏澄
1
Awazuhara Noboru
1
1板橋区おとしより保健福祉センター
pp.587-594
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100126
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はじめに
厚生労働省の2003年度介護保険事業報告によると,要介護高齢者の8割が後期高齢者であり,要支援,要介護1の軽度者はおおよそ50%を占めるといわれている1).このような状況の中で,2004年7月の社会保障審議会介護保険部会では,介護保険制度の見直しにあたって,給付の効率化,重点化を図るための「総合的な介護予防システムの確立」を検討課題として提示した.具体的には軽度者に対する地域支援事業(仮称,以下同じ)の導入や新予防給付の創設である.この介護予防の考え方は,介護保険創設時に謳われていたものであり,介護保険サービスの提供にあたって自立支援やリハビリテーションを重視するなど基本的な考え方としてあげられていたものである.2006年施行予定の介護保険制度改革では,この予防重視型システムへの転換が予定され,現在,介護保険法の見直し,介護予防やリハビリテーションの観点から実施されている「老人保健事業」や「介護予防・地域支え合い事業」の整理検討が行われている.
筆者の勤務する自治体(以下,当区)は,人口約50万人,高齢化率約17%(全国平均とほぼ同じ)の都市部に該当する.保険者として介護保険事業計画の立案に向けて,総合的な介護予防システムの確立を検討中である.本稿では当区での取り組みを通して都市部での介護予防事業の実際と,理学療法士の関わりについて述べる.
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