わだい
外因系凝固抑制因子
近藤 信一
1
1神戸大学医学部附属病院中央検査部
pp.346-347
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906556
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はじめに
外因系凝固は,血管内皮の損傷により暴露された線維芽細胞上の組織因子(TF),あるいは刺激を受けて内皮細胞,単球上に現れたTFと血中の凝固因子が反応することにより開始すると考えられている.TFの周辺のリン脂質に,活性化凝固第VII因子(F.VIIa)と凝固第IX因子(F.IX)あるいは第X因子(F.X)がカルシウムイオン(Ca2+)を介して結合することにより,三者複合体が形成され,そこでTF・F.VIIaによりF.IXあるいはF.Xの活性化が起こる.活性化した凝固第IX因子(F.IXa)あるいは凝固第X因子(F.X)は新たなF.IXあるいはF.Xと置き換わり,凝固の活性化は持続する.
外因系凝固抑制因子は,このTF・F.VIIaによるF.IXaおよびF.Xaの産生を抑制し,凝固第VIII因子(F.VIII),凝固第V因子(F.V)を補助因子とする二段の凝固増幅ステップに,活性化凝固因子を提供しない働きをする.
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