資料
ビタミンK
白幡 聡
1
1産業医科大学小児科学教室
pp.328-330
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906546
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はじめに
1929年,Damにより発見された新しいビタミンは発見当初,抗出血性因子と考えられたところから,ドイツ語で血液凝固を意味するKoagulationの頭文字をとりビタミンK(以下,VK)と命名された.しかし,その後の研究でVKは4種類の血液凝固因子(第II,第VII,第IX,第X因子)以外にもさまざまな蛋白の産生に関与していることが明らかにされた.例えばVK依存性因子の一つであるプロテインCは,血管内皮細胞上のトロンボモジュリンに結合したトロンビンにより活性化された後,同じくVK依存性因子であるプロテインSを補助因子として,活性化第V・第VIII因子(F. Va,F. VIIIa)を不活化する.
このようにVKが血液の持つ相反する性質,すなわち凝固性(止血)と流動性(抗血栓)の双方に深くかかわっている点は興味深い.
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