増刊号 臨床血液検査
II.止血機能検査
2.検査の実際と症例の解釈
2)凝固検査
A.検査法
(4)凝固因子活性 a)凝固因子欠乏試剤を用いた一段法
江川 宏
1
1関西医科大学病態検査学教室
pp.199-202
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906514
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■測定の意義
各凝固因子についてその生物学的活性を知ることは,以下の事項において有意義である.
(1)先天性凝固因子欠乏症の診断.
(2)(1)の場合,免疫学的測定法による抗原量と併せ考察することにより,その症例が量的欠乏症か分子異常症かを鑑別する.
(3)先天性凝固因子欠乏症の保因者診断.特に血友病Aの場合,保因者の第VIII因子(F.VIII)凝固活性(coagulant activity;C)(F. VIII;C)/von Willebrand因子(vWF)抗原(vWF:Ag)比は正常女性のそれと比較すると有意に低いことから,保因者の約90%は診断が可能である.
(4)凝固因子欠乏症患者の止血管理のモニターとして有用である(特に血友病において).
(5)凝固因子抑制物質(インヒビター)の検出とその力価測定およびその中和能の測定ができる.
(6)後天性要因による各凝固因子の変動を知ること,すなわち,重症肝実質障害,播種性血管内凝固症候群(DIC)およびビタミンK依存性因子のビタミンK不足などにおける凝固因子活性の低下,妊娠や経口避妊薬による上昇など.
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