増刊号 臨床血液検査
II.止血機能検査
2.検査の実際と症例の解釈
2)凝固検査
A.検査法
(4)凝固因子活性 b)発色性合成基質を用いた凝固因子定量法
本射 滋己
1
1東亜医用電子(株)販売促進部学術課
pp.202-206
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906515
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はじめに
血液凝固は蛋白分解酵素の連鎖反応系であり,その過程において種々の活性化凝固因子(プロテアーゼ)が生成される.近年,これらのプロテアーゼと特異的に反応する発色性合成ペプチド基質(合成基質)が開発され,それ以前には測定が困難であった阻害物質の特異的定量法が確立された.さらに最近では凝固因子定量法にも応用され,注目されている.
従来から凝固因子定量は目的因子の欠乏血漿を使用し,フィブリン形成に要する時間を測定しているが,合成基質を用いると,目的の凝固因子が関与している酵素反応の部分だけを活性化させることで,目的因子の活性量を産生されたプロテアーゼの活性量として定量できる.しかし凝固因子には①プロテアーゼ前駆体として存在するもの,②プロテアーゼの補酵素作用を担うものなどがあり,それぞれ測定原理も異なる.また,測定用試薬は特殊な生物試薬,精製凝固因子およびプロテアーゼなど自家調製あるいは試薬管理に難がある.このため,本稿では①に属する第X因子(F.X)と②に属する第VIII因子(F.VIII)について,おのおのの測定用試薬キットであるテストチームFactor X,テストチームFVIII(ともに第一化学薬品)を用いた測定方法を以下に解説する.
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