増刊号 臨床血液検査
II.止血機能検査
2.検査の実際と症例の解釈
1)血小板機能検査
B.症例呈示
(3)特発性血小板減少性紫斑病
渡辺 清明
1
1慶應義塾大学医学部中央臨床検査部
pp.180-185
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906510
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はじめに
特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura;ITP)は免疫機序により血小板が体内で破壊されるために生じる血小板減少症である1).
大別して急性と慢性のものがある.急性ITPは多くの場合,小児に認められる.その特徴は,①急激に生じる血小板減少,②先行するウイルス感染,③1〜2か月以内に自然治癒する,などである.一方,慢性ITPは20〜50歳の成人に認められるもので,①比較的慢性に経過する血小板減少,②女性に多くみられる,③自己免疫機序を有する,④自然治癒することもあるが,多くはなんらかの治療を要する,などの特徴を有する2).内科においては特に後者の慢性ITPが主流であるので,本稿では慢性ITPについてのみ記述する.急性ITPについては他の論文を参照されたい.
本稿では最初に慢性ITPの病因,検査所見,診断ならびに鑑別診断などを概説し,最後に症例を4例呈示する.
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