増刊号 臨床血液検査
II.止血機能検査
1.検査の考えかた
2)止血異常における検査とその組み立てかた
(2)出血傾向の検査方針
櫻川 信男
1
1富山医科薬科大学医学部臨床検査医学教室
pp.129-136
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906497
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はじめに
出血傾向は先天性,あるいは肝・腎疾患や膠原病などで続発する後天性の凝固障害による出血をきたしやすい状態である.凝血機序は血管系,血小板系,凝固系,線溶系および阻害系の五つの要因から成立し,それぞれが関連し合い血管壁を中心に作動して出血を防御している.しかし,加齢による動脈硬化,重症感染時のエンドトキシンやスーパーオキシドなどの毒性要因,サイトカインなどの免疫要因や糖尿病などの代謝異常で血管壁が障害されると出血をみるが,逆に凝固系の活性化をきたし血栓形成に傾き,血小板や凝固因子が消費されて減少し,出血をもたらす播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulationsyndrome;DIC)がある.
出血傾向をきたす各種疾患の病態生理を理解しつつ,その確定診断のための検査方針を述べる.
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