増刊号 臨床血液検査
II.止血機能検査
1.検査の考えかた
2)止血異常における検査とその組み立てかた
(1)止血異常患者へのアプローチとスクリーニングテスト
中村 克己
1
1鳥取大学医学部臨床検査医学教室
pp.125-128
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906496
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はじめに
健常人にあっては,血管内皮をはじめとする血管壁,血流に異常がなく,しかも血小板・凝固・線溶各因子,さらにはこれらの諸因子に対する生理的阻止因子が互いに凝血学的バランスを保っているので,容易に出血することはなく,血栓を形成することもない.このような止血機構に破綻を生じた場合に止血異常となるわけで,この止血異常は出血しやすく止血困難な出血性素因(出血傾向)と,それとは裏腹の血栓を形成しやすい血栓性素因(血栓傾向)とに大別される.
これらの素因のある患者が受診した場合,いきなり検査を施行するわけではなく,まず問診をはじめとする診察が十分になされる必要がある.つまり,検査以前に診断上秘められた問題のあることを忘れてはならない.検査以前にあるもの,検査の裏にあるものに想いを致し,より有意義な検査へと努力することが肝心である.
以下,二つの素因それぞれの患者へのアプローチとスクリーニングテストについて述べる.
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