増刊号 誰でもわかる遺伝子検査
Ⅱ.各論—遺伝子検査はどういうときに必要なのか
2.技術編—遺伝子検査を活用するための知識
3)分析法/解析法
(5)パルスフィールドゲル電気泳動法
満田 年宏
1
1横浜市立大学医学部臨床検査部
pp.963-967
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906329
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
パルスフィールドゲル電気泳動法と高分子染色体DNA電気泳動装置開発の歴史
まず表1には種々の遺伝子とそのサイズを示すので比べてほしい.『電気泳動』は,蛋白質や核酸をゲル状のマトリックスに荷電をかけて泳がせて,その分子量の違いによる泳動距離の差を一種の分子ふるいでより分ける技術である.通常の電気泳動法では電場は1方向に固定されており,泳動中に進行方向は変化しない.分子の大きさが大きくなるとアガロースゲルマトリックスの分子ふるい効果が失われ,分子量に関係なく一定の移動速度となる.
パルスフィールドゲル電気泳動(pulsed-field gel electrophoresis;PFGE)法では2方向の電場が任意の時間間隔で交互に変化する.巨大分子DNA断片をアガロースのマトリックス中で屈曲しながら電場方向に移動させるとともに,電場が新しい方向に変わるとDNA分子はそれに対応して方向を変えて移動を再開する.この仕組みでは分子量の大きなDNAほど方向転換に要する時間が長くなり,移動距離に差が生じてくるため各巨大分子NDA断片の分離が可能になる.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.