増刊号 誰でもわかる遺伝子検査
Ⅱ.各論—遺伝子検査はどういうときに必要なのか
1.遺伝子検査の適応—遺伝子検査の特性を知る
2)悪性腫瘍
上平 憲
1
1長崎大学大学院医歯薬総合研究科分子統御医学講座臨床検査医学
pp.919-922
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906316
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
はじめに
造血器腫瘍や固形癌を含む悪性腫瘍(がん)は現在日本人の死因の約30%を占めている.そして,高齢化に従い2人に1人は生涯の間にがんに苦しむと予想されている.
悪性腫瘍の適正な治療は,細胞形態・免疫形質・遺伝子検査・臨床像の総和に基づく的確な診断に大きく依存している.従来より,悪性腫瘍の診断は,検査室レベルでは前二者の細胞形態と免疫マーカーによるいわゆる「形質検査」によって主に行われている.すなわち,過去約100年以上にわたり,血液がんはメイーギムザ(May-Giem sa;MG)などのロマノフスキー(Romanowsky)染色,固形癌はヘマトキシリン-エオジン(HE)染色によるパターン認識であった.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.