Laboratory Practice 病理 細胞像からここまでわかる
子宮頸部(5) 子宮頸部異形成—上皮内癌の細胞診
都竹 正文
1
,
手島 英雄
2
1癌研究会附属病院細胞診断部
2癌研究会附属病院婦人科
pp.46-47
発行日 2001年1月1日
Published Date 2001/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905706
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はじめに
子宮頸部の異形成(dysplasia)は炎症性とも腫瘍性とも,また良性とも悪性とも判断しかねる扁平上皮の異型病変を呼び,境界病変として位置づけられている.異形成は病理組織学的に上皮の各層において細胞成熟過程の乱れと核の異常を示す病変である.すなわち,極性の消失,多形性,核クロマチンの粗大顆粒状化,核形不整,異常分裂を含む核分裂像が見られるのを特徴とする.異形成はその程度により軽度(mild=slight),中等度(moderate),高度(severe)に分けられる.
子宮頸癌取扱い規約(1997年10月,改定第2版)では異形成(dysplasia)-上皮内癌(carcinomain situ)は子宮頸部上皮内腫瘍(cervical intraepithelial neoplasia;CIN)として取り扱われており,軽度異形成(mild dysplasia;CIN 1),中等度異形成(moderate dysplasia;CIN 2),高度異形成(severe dysplasia;CIN 3),上皮内癌(carcinoma in situ;CIN 3)に分類されている.本規約ではHPV感染による細胞異型であるコイロサイトーシス(koilocytosis,koilocytotic atypia)は軽度異形成に含まれる.高度異形成と上皮内癌はCIN分類ではCIN 3として包括されている.
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