増刊号 血液検査実践マニュアル
Part 4 溶血検査
4.データの読みかたとコメントの付けかた
杉原 尚
1
1川崎医科大学血液内科
pp.822-824
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905479
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はじめに
溶血性貧血(hemolytic anemia)とは,なんらかの原因によって赤血球の崩壊が亢進した状態の総称であり,多くの疾患を包括する一種の症候群である.赤血球崩壊が亢進し,約120日ある赤血球寿命が短縮してくると,骨髄はその産生能力を高め,通常よりも多くの赤血球を産生する.赤血球の崩壊を骨髄造血が代償できる範囲内であると貧血は見られない(代償された溶血).しかし,赤血球崩壊が著しく亢進して,これに対する産生能が追いつかない場合(非代償性溶血)に初めて貧血を生ずることになる.したがって,実際には貧血を呈さない症例も多くあり,溶血性疾患と呼ぶのが妥当と考えられる.
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