特集 補助金と病院経営
医療貸付けの現状と課題
佐野 利昭
1
1社会福祉・医療事業団
pp.1029-1033
発行日 1996年11月1日
Published Date 1996/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901954
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医療貸付の現状
1.貸付対象
社会福祉・医療事業団は,民間社会福祉施設や民間医療機関などの整備資金を長期,低利に融資することを主要な業務とする政策金融機関として,1986年に設立された.前身は,民間社会福祉事業の経営に必要な資金を融通することを目的として1954年に設立された「社会福祉事業振興会」と,私立の病院や診療所などの設立などに必要な長期低利の資金を融通することを目的として1960年に設立された「医療金融公庫」という二つの専門政策金融機関であり,高齢化社会の到来などに対応して新たな観点から「福祉」と「医療」の連携による総合的サービスの提供体制を確立することを目指し,国の行政改革の一環として二つの法人が統合されたものである.医療貸付事業はこの内,旧医療金融公庫の融資事業を引き継いでいるが,社会福祉・医療事業団発足後の社会・経済の動向や医療環境の変化などに対応して,貸付対象などに大きな変革を迫られた.
すなわち,第1に,医療施設はそれまで着実に整備が進められ,マクロ的にみれば施設数からみても病床数においてもほぼ充足された状態に達しており,今後は無秩序な病院病床数の増加をコントロールするとともに医療施設の地域偏在の是正や医療施設問の機能連携,必要な医療機能の体系的整備を図り,地域医療のシステム化を推進する必要が生じてきた.
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