増刊号 血液検査実践マニュアル
Part 8 遺伝子関連検査
1.染色体検査
4)検査結果の読みかたとコメントの付けかた
田村 高志
1
1杏林大学保健学部臨床遺伝学教室
pp.946
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905524
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はじめに
造血器腫瘍の場合,骨髄細胞の染色体検査は末梢血リンパ球培養法と比較して得られる分裂像の数が少ないことが多い.さらに特異的な染色体構造異常を持つ細胞の頻度が低いときは,核型解析を行っても正常核型を認めてしまうことがある.そのため,造血器腫瘍の検査においては,できる限り数多くの染色体分析を行うことが必要である.末梢血リンパ球の染色体検査は,通常,広がりのよい核板で20細胞以上について染色体総数をカウントし,数的異常,構造異常のないことを確認する.次に5細胞についてG分染法による解析を行い,2〜3細胞を写真撮影して核型に並べて報告する.
造血器腫瘍については,これまで述べてきたように染色体分裂像が少ないため,通常の検索では解析が困難なことが多い,そこで転座異常の染色体を絞り込み,その染色体ペインティングプローブを用いて解析を行う.また,M-FISH,SKY法による解析はより簡便に転座異常を起こしている染色体解析のスクリーニングが可能である.しかし,最終的な結果報告は分染法による核型記載が必要である.核型の記載方法は,ISCN(International System for Human Cytogenetic Nomenclature)に従って行う.
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