技術講座 生理
頸動脈超音波断層検査法
加藤 健
1
,
水野 兼志
2
1福島県立医科大学医学部内科学第3講座
2福島県立医科大学看護学部生態機能学講座
pp.327-330
発行日 2000年4月1日
Published Date 2000/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905334
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新しい知見
頸動脈Bモードエコー法は脳血管疾患の病型診断,治療法の選択,ならびに予後の推定に用いられており,脳における血管障害の指標として有用である.このうち,内膜中膜複合体厚(intima-media complex thickness;IMT)は最近の研究では高脂血症,冠動脈疾患の重症度との関連も報告され,全身の動脈硬化の進展度を把握するうえで重要である.また2型糖尿症でも有意に肥厚し,その年齢より20歳以上の健常者と同程度と報告されるばかりでなく,糖尿病より軽症の糖負荷試験境界型であっても,高インスリン血症を有する者ではIMTがすでに糖尿病患者と同程度の肥厚を有することが明らかにされており,高血糖以外の動脈硬化危険因子の存在が指摘されている.
このように,この数年の間に頸動脈Bモードエコー法を用いた臨床研究の結果,次々に新知見が報告され,IMTの測定は動脈硬化の発症,進展原因を疫学的側面から解明するうえで極めて信頼性が高いことが再認識されつつある.
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