けんさアラカルト
米国におけるDRG/PPS診療費償還システムと臨床検査
竹村 譲
1
1防衛医科大学校検査部
pp.162-163
発行日 2000年2月1日
Published Date 2000/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905304
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米国総医療費は,1965年に老年者および低所得貧困者に対する公的医療保険制度であるメディケア/メディケイドプログラムが樹立されて以来,増加の一途をたどってきた.米国総医療費は指数関数的に増加し,1996年には1兆ドルを超え,GDPの13.6%を占めるに至った.米国医療総支出の膨張に大きく貢献した因子として,この制度に採用されていた出来高払い医療費償還制度(fee-for-service reimbursementsystem)が挙げられる.
連邦政府は医療費増大抑制策として,1983年にdiagnosis-related groups(DRG)/prospective payment system(PPS)をメディケア入院患者に適用し,診断グループ別に診療費定額支払いシステムを導入した.460余りの診断グループ別に,あらかじめ決められた一本化した一定額しか1入院に対して償還しないこの定額支払いシステム下では,過剰医療は医療機関の損出に直結するため,やればやるほど収益の上がる出来高払い制度下の医療行為と対照的に,不必要な医療行為,コスト削減への強力な動機づけを持っていた.
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