トピックス
家族性パーキンソン病遺伝子
清水 信義
1
1慶応義塾大学医学部分子生物学教室
pp.1346-1349
発行日 1999年10月1日
Published Date 1999/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543904004
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はじめに
パーキンソン病(Parkinson's disease;PD)はアルツハイマー病に次いで症例の多い神経変性疾患で,全国に約12万人の患者がいる.この疾患は振戦・筋強剛・動作緩慢・姿勢反射障害などの特徴的な症状が,通常,50〜60歳台に孤発的に出始めるが,若年で発症する家族性パーキンソン病も知られている.これまでに優性および劣性遺伝を示す少なくとも7種類の家族性パーキンソン病が知られており,そのうち4種類に関して原因遺伝子が同定されている(表1)1).特に,常染色体性劣性若年性パーキンソニズム(autosomalrecessive juvenile parkinsonism:AR-JP)は1998年,筆者らがその原囚遺伝子をクローニングしたものである2).AR-JPの臨床的特徴としては,顕著なL-DOPA反応,日内変動,午睡による症状の改善,ジストニアの出現,腱反射の亢進などが知られている3).また,病理学的には脳の黒質・青斑核などの選択的細胞死とレビー小体形成の欠如という特徴がある.順天堂大学の水野美邦教授らはAR-JP患者家系のリンケージ解析を行い,原因遺伝子を6番染色体のバンドq25.2-q27(マーカーD6S305〜D6S253)にマップし,さらに1人の女性患者がマーカーD6S305を欠失していることを見いだした4,5).
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