技術講座 一般
尿中Tamm-Horsfall糖蛋白の定量
杉本 佳代
1
,
芝 紀代子
2
1東京医科歯科大学医学部保健衛生学科分析検査学
2東京医科歯科大学医学部保健衛生学科
pp.435-441
発行日 1999年5月1日
Published Date 1999/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903771
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新しい知見
タム-ホルスフォール糖蛋白(Tamm-Horsfall glycoprotein;THP)は健常人尿中蛋白の主たる構成成分であり,尿円柱の基質となる.尿細管障害が起こると尿中THP量は増加する.近年,THPは尿結石との関連についてネフロカルチン(nephrocalcin),ウロポンチン(uropontin)などの尿中蛋白とともに注目されている.THPを含むこれらの蛋白は結石形成の抑制,具体的には結石の核形成,結晶成長,凝集を抑制する.しかし,おもしろいことにTHPはイオン強度が高く,pHが低いと逆に結石形成を促進する.健常人尿中においてシュウ酸やカルシウムが過飽和であるのにもかかわらず,結石形成が起こらないのはこれら蛋白の存在のためであるが,それが何かの機序で結石ができてしまう.尿結石患者が増加している今日,この機序解明が急がれる.
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