トピックス
嚢虫症の新しい血清診断法
伊藤 亮
1
1岐阜大学医学部寄生虫学教室
pp.391-393
発行日 1998年4月1日
Published Date 1998/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903393
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■有鉤条虫,有鉤嚢虫とは
有鉤条虫(Taenia solium)とは「有鉤嚢虫(Cysticercus cellulosae)と呼ばれる幼虫を筋肉内に宿しているブタ肉を」十分火を通さずに摂取したヒトの消化管で「きしめん様の数メートルの長さに発育するサナダムシ」である.この成虫を宿しているヒトから排泄される虫卵を経口摂取したヒト,ブタの全身に有鉤嚢虫(以下,嚢虫と略)が発育するのである.ヒトへの有鉤条虫の感染は基本的には「嚢虫が感染しているブタ肉」の摂取による.ヒト(嚢虫→有鉤条虫→虫卵)-ブタ(虫卵→嚢虫)-ヒト(嚢虫→有鉤条虫→虫卵)の間で,この寄生虫の生活環が完成するものであり,ヒトが「嚢虫感染ブタ肉の生食」を避けることによって長期的にはこの寄生虫の生活環を絶つことができるものである.しかし,人体嚢虫症(cysticercosis)の問題点は有鉤条虫を宿しているヒト(保虫者)から排泄された虫卵がブタに感染するのみならず,他のヒトにも感染することである.
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