増刊号 輸血検査実践マニュアル
各論
血液型
不規則抗体検査
自己抗体と輸血
石田 萠子
1
1関西医科大学附属病院輸血部
pp.113-119
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903114
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はじめに
輸血検査における直接抗グロブリン試験(direct antiglobulin test;DAT)陽性例のうち,代表的なものに自己免疫性溶血性貧血(auto-immune hemolytic anemia;AIHA)がある.AIHAは,なんらかの原因によって免疫機構に破綻をきたし,赤血球に対する抗赤血球自己抗体(自己抗体)を産生する.この抗体が患者の赤血球に作用して溶血を起こす疾患である.これらの自己抗体は古くから反応至適温度によって温式と冷式自己抗体に分類されている.しかし,抗体検査が詳細に行われるようになった現在,必ずしもこの分類に当てはまらない例も出てきている.いずれにしても自己抗体保有患者への輸血は慎重に対応されており,高度の貧血が急速に進む場合や,ステロイド剤,その他の治療で効果が期待できない場合に行われる.その際の輸血検査では,自己抗体に覆われた血液の取り扱いに特別の注意が必要である.
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