増刊号 輸血検査実践マニュアル
各論
血液型
不規則抗体検査
不規則抗体の同定
中嶋 八良
1
1東京医科歯科大学歯学部
pp.107-112
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903113
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はじめに
抗体スクリーニングや交差適合試験で,患者や供血者の血清中に,抗Aや抗B自然抗体以外の赤血球抗体(不規則抗体)が検出されたら,その抗体の特異性を決定(同定)し,その臨床的意義(輸血赤血球の寿命を短縮させたり,新生児溶血性疾患に関係したりするかどうか)を評価する.
輸血前検査で患者血清中に検出された不規則抗体の特異性が同定されていれば,適合血が容易に得られるかどうかがわかるし,臨床的意義があると考えられる抗体の場合,あらかじめ高力価の血液型判定用試薬を使って対応する抗原を持たない血液を探して交差適合試験を行い,不適合血を適合血と見誤る危険を極力回避するよう努めることができる.また,検体血清中の抗体が,市販品に求めがたいような特異性(例えば抗Dib)を持ち,力価も高いことがわかれば,残りの血清を貴重な血液型判定用試薬として使える.
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