トピックス
アクリノール製剤の細菌汚染
尾家 重治
1
,
神谷 晃
1
1山口大学医学部附属病院薬剤部
pp.390-392
発行日 1997年4月1日
Published Date 1997/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903039
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
消毒剤は微生物を殺菌する目的で用いられるので,消毒剤の微生物汚染はあり得ないと考えられがちである.しかし,実際にはグルタラール(ステリハイド®,サイデックス®),次亜塩素酸ナトリウム(ミルトン®,テキサント®),およびアルコールを除いて,消毒剤は高濃度の細菌汚染を受けることがある1,2).今回は,消毒剤の細菌汚染例のうち,市販アクリノール製剤の汚染について紹介する3).
B. cepacia汚染を受けていた0.2%アクリノールガーゼ液から0.05mlずつを採り,8種類の試料(0.1,0.2,0.5%アクリノール液,精製水,およびこれらの4種類の液にそれぞれガーゼを添加したもの)に注加して,経時的にこれらの8種類の試料中の生菌数を調べた(図2).ガーゼ添加の0.1,0.2,0.5%アクリノール液およびガーゼ添加の精製水では,いずれもB. cepaciaの速やかな増殖がみられた.すなわち,ガーゼが汚染菌の栄養源となっていることが推定された.アクリノールガーゼ液の高頻度汚染は,ガーゼの添加に起因することが推定された.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.