生体のメカニズム 凝固・線溶系・5
先天性血栓傾向とその診断
森下 英理子
1
1金沢大学医学部附属病院検査部
pp.851-854
発行日 1996年9月1日
Published Date 1996/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902877
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はじめに
血栓性疾患全体に占める先天性血栓性素因の発現頻度は30%以上に及ぶといわれる.経験上40歳代以前に静脈血栓症を発症したり,再発性であったり,家族性に血栓症の発現がみられる場合には,先天性血栓性素因があることを予想して検査する必要がある.
図1に示すようなアンチトロンビンⅢ(ATⅢ),プロテインC(PC),プロテインS(PS)などの血液凝固制御機構を支える因子に先天的な異常がみられると,血栓傾向を生ずることが明らかとなっている.表に,今までに報告されている先天性血栓性素因を示した.近年,これらの先天性血栓性素因に関連した因子の遺伝子レベルでの解析が相次いで報告されている.
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