特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査
血栓症の病態
4.血栓傾向
4)薬剤性血栓傾向
新倉 春男
1
Haruo NIIKURA
1
1昭和大学医学部藤が丘病院内科血液
pp.51-54
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903073
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はじめに
止血機構に影響を及ぼして出血傾向あるいは血栓・塞栓症を起こす薬物は少なくないが,出血傾向に比べて,血栓傾向をもたらす機序を明確にすることは,血小板,凝固線溶系,血管内皮,血行動態などが複雑に絡むため,必ずしも容易ではない.
副作用として血栓・塞栓症が報告されている薬剤を表1に示した.これらの薬物が直接止血機構に働いて血栓傾向をもたらすとは限らず,血管内皮の障害,血行動態の変化などに関連して血栓傾向がもたらされる場合も多い.また,患者の年齢,性,嗜好品,基礎疾患の種類と重症度,併用されている薬剤などにも影響される.ここでは血栓・塞栓症の原因として比較的よく知られている薬物につき,その発生機序を解説する.
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