今月の主題 血栓症とDIC
血栓傾向
妊娠と血栓傾向
寺尾 俊彦
1
1浜松医科大学産婦人科
pp.1305-1307
発行日 1996年7月10日
Published Date 1996/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905182
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ポイント
●妊娠中や産褥期には血栓ができやすい.血栓の形成には煙血管壁の異常,血液成分の異常,血流の停滞が3要因(Virchowの説)として知られているが,妊娠中や産褥期にはこれらの要因がいずれも備わり,易血栓性状態となる.
●妊娠による血液成分の変化は易血栓形成の大きな要因で,血液凝固因子の産生増加,線溶の抑制,血液粘度の増加,血球数の増加などの変化がみられる.これらの変化は妊娠の進行とともに著明となる.
●妊娠による子宮の増大で血管走行の変化,血流の変化,血管内皮の障害が起こり,これに伴う好中球や血小板の活性化が,易血栓性状態を招来する.血流の停滞が随所に起こる.
●分娩,手術など血栓の起こりやすい機会があることも要因となる.
●羊水などの子宮容物は凝固亢進物質であり,血中へ流入することにより血栓形成の引き金となり得る.
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