トピックス
心筋型脂肪酸結合蛋白
宗宮 浩一
1
,
田中 孝生
1
1大阪医科大学第三内科
pp.170-171
発行日 1996年2月1日
Published Date 1996/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902630
- 有料閲覧
- 文献概要
心筋梗塞とは,主に冠動脈硬化を基礎にして生じた血栓により冠動脈内腔が閉塞し,その結果ある程度の大きさの心筋壊死をきたすものをいう.急性心筋梗塞は致命率の高い重篤な疾患であり,急性心筋梗塞死のうち発症3時間以内のものが約半数を占めるといわれる.近年,血栓溶解療法や経皮的冠動脈形成術による再灌流療法が行われるようになり,院内死亡率はそれまでの約1/3の10%前後に減少した.再灌流療法は発症から治療開始までの時間が短いほど効果が大きく,少なくとも6時間以内に開始することがましいしたがって発症早期の確実な診断が重要である.
急性心筋梗塞の診断は,①突然出現し持続する胸痛,②特有な心電図変化,③生化学的マーカーの上昇によりなされる.ところが,胸痛を認めない症例も少なくなく,また典型的な心電図変化を示さない症例もあり,特に発症早期にはその診断は容易ではない.心筋梗塞の生化学的マーカーとしては,クレアチンキナーゼ-MBアイソザイム(CK-MB),ミオグロビン,ミオシン軽鎖などが用いられている.CK-MBやミオシン軽鎖の血中への出現は心筋梗塞発症後,時間的遅れがあり,ミオグロビンは心筋特異性がなく,発症早期の心筋梗塞の診断にはそれぞれの限界がある.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.