技術講座 免疫
心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP)の定量法開発と臨床的意義
宗宮 浩一
1
,
大軽 靖彦
2
,
田中 孝生
1
,
北浦 泰
1
1大阪医科大学第三内科
2大日本製薬株式会社ラボラトリープロダクツ部
pp.719-725
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100692
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新しい知見
ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白(heart-type fatty acid-binding protein,H-FABP)は,心筋細胞質に豊富に存在する低分子可溶性蛋白で,急性心筋梗塞(acute myocardial infarction,AMI)などで心筋細胞が傷害を受けた際に,速やかに循環血液中に逸脱する1~3).そのためH-FABPはAMIに代表される心筋傷害時の生化学マーカーとして広く注目を集めている.特に,従来の心筋傷害マーカーでは診断感度が不十分で検出できなかった発症後6時間以内あるいは3時間以内の超急性期の心筋傷害を検出するのに適している4,5).また,血中H-FABP濃度は梗塞サイズを推定する指標として利用できるばかりでなく6,7),再灌流療法の成否の確認8),開心術時の心筋傷害の指標としても利用できることが報告されている9~11).
最近,これまで利用されてきたH-FABP濃度定量用酵素結合免疫固相測定法(enzyme-linked immunosorbent assay,ELISA)「マーキットM H-FABP」に加え,イムノクロマト法によるpoint-of-care-testing(POCT)試薬「ラピチェックH-FABP」が開発され,H-FABPの全血迅速検査が可能となった12,13).
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