トピックス
中間径フィラメントの免疫組織化学の意義
広瀬 隆則
1
1徳島大学医学部病理学第一講座
pp.735-736
発行日 1995年8月1日
Published Date 1995/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902478
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細胞を電子顕微鏡で観察するとミトコンドリア,粗面小胞体,ゴルジ装置などの小器官とともに線維状の構造物が見いだされる.これは細胞骨格(cytoskeleton)と総称され,細胞の形や他の小器官の配置を決める以外に,細胞の運動,分裂,物質の移動,細胞同士の接着などの重要な機能にも関与することが知られている1).
細胞骨格は直径と構造上の違いから微小管(microtubule),マイクロフィラメント(microfilament),中間径フィラメント(intermediate filament)に大別される.微小管は平均25nmの直径を有する管状構造で,マイクロフィラメントは6〜8nm径の微細な線維束として観察される.この2つの中間の直径(約10nm)を示すのが,中間径フィラメントである.電顕的に区別することは難しいが,中間径フィラメントは生化学的構造の違いから,(サイト)ケラチン(cytokeratin),ビメンチン(vimentin),デスミン(desmin),GFAP(glial fibrillary acidic protein),ニューロフィラメント(neurofilament:NF)の5種類に分類され,それぞれがある程度固有の組織,細胞に分布することが知られている.ケラチンは,分子量40〜70キロダルトン(kDa)にわたる少なくとも19種類のサブタイプからなり,主に扁平上皮や腺組織の上皮細胞に局在している.
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