Japanese
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特集 細胞骨格異常
神経疾患における中間径フィラメント異常
Abnormalities of intermediate filaments in nervous system diseases
石田 陽一
1
Yoichi Ishida
1
1群馬大学医学部第一病理学教室
pp.186-192
発行日 1989年6月15日
Published Date 1989/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905262
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神経系を構成する細胞には中間径フィラメント(intermediate filament以下IF)として神経細糸(neurofilament),グリア細線維(glial filament),ビメンチンが知られている1)。神経細糸は神経細胞の軸索や樹状突起に認められる直径約10nmのIFで,微小管とともに細胞骨格を形成している。神経細糸を構成する蛋白(neurofilament protein以下NFP)は68Kd,160Kd,200Kdのsubunit(triplet)からなっている2)。3種のsubunitのうち,68Kd subunitがNFPの中核をなす蛋白と考えられており,Shawら3)の研究によるとラット脳と視神経では200Kd subunitは発達の過程でもっとも遅れて発現する。神経組織の個有の間質細胞であるグリアのIFを構成する蛋白はglial fibrillary acidicprotein(GFAP)で,主として星形グリアに検出される。GFAPの分子量は報告者により異なるが,約50Kdである。ビメンチンは多くの間葉系細胞のIFを構成する蛋白で,神経系では髄膜上皮とクモ膜の間葉系細胞,脳脊髄神経のシュワン細胞に検出される4)。グリアとくに星形グリアではビメンチンとGFAPの重複発現がみられるが,成熟神経組織ではその量が少ないためか免疫組織学的には検出しにくい。
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