けんさアラカルト
胎児とストレス
松田 義雄
1
1鹿児島市立病院産婦人科
pp.594
発行日 1995年7月1日
Published Date 1995/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902436
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ストレスとは生体内に生じたひずみの状態をいう.体外から加えられた有害因子(ストレス作因)と,それによって生じた防御反応の両方を指している(医学大辞典,南山堂より).胎児にストレスが加わった場合でも,臓器の機能が成熟していれば,成人のわれわれと同様の反応を示す.すなわち,生命維持に重要でない臓器への血流を減らして,重要臓器への血流を増やす血流再分配機構や,ストレスホルモンといわれる種々のホルモンの増加により,ストレスに対する適応現象がみられる.
近年の胎児心拍監視装置と超音波診断装置の発達には目覚ましいものがある.これまでブラックボックスの中にいるといわれてきた子宮内胎児の評価法は,これら機器の発達とこれを活用した診断技術の向上により,以前とは比較にならないほど格段の進歩を遂げてきた.胎児心拍モニタリングならびに超音波画像診断は,ストレス下にある胎児のBiophysical responseを見ているにほかならない.
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