増刊号 臨床生理検査実践マニュアル画像検査を中心として
Ⅰ.超音波検査法
3.検査の実際
2)上腹部
(1)肝臓 臨床像と病理組織像との対比
円山 英昭
1
,
岩村 伸一
2
1高知医科大学第一病理
2高知医科大学第一内科
pp.63-66
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902316
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
肝臓は上腹部,横隔膜直下に位置する生体で最大の実質臓器である.左右両葉と尾状葉[S1]が区別され,血流支配から,左葉はさらに外側上(後)[S2],外側下(前)[S3],内側[S4]の3区域に,右葉は前下[S5],後下[S6],後上[S7],前上[S8]の4区域に分けられる〔Couinaud(クイノー)の肝区域〕.基本的構造単位である肝小葉(2〜3mm径)は放射状に配列する肝細胞索と,その周囲を流れ,中心静脈に注ぐ迷路状の類洞より成る.ヒトではグリソン鞘の線維性間質の発達が乏しいため,肝細胞が全肝容積の約80%を,残りの大部分を類洞血管網が占める.したがって,正常肝では遠肝性に管径が増大する肝内門脈枝,肝静脈枝や胆管系の部分を除いて,ほぼ均質な超音波像を呈する.
各肝疾患の超音波像の判読に際しては,①病変の分布:限局性あるいはびまん性②病変の性状(特に限局性病変の場合):充実性あるいは嚢胞性,周囲肝組織との関係(特に肝硬変合併の有無)③基本的な組織変化に対応するエコー像以上の3点を理解しておくことが必要である.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.