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パラフィン切片上での癌遺伝子蛋白の免疫組織染色
土橋 洋
1
,
福島 純一
2
,
堀内 啓
2
1大阪大学微生物病研究所発癌制御部門
2東京大学医学部病理学教室
pp.910-912
発行日 1994年10月1日
Published Date 1994/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902147
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光顕レベルでの特殊染色,免疫組織学的染色,最近ではDNA抽出後のサザンプロッティング,PCRなどパラフィン切片はあらゆる新規の方法論にも対応してきた.というよりもむしろ,パラフィン切片の中に包埋されている何十年にもわたる組織を検討するために新たなメソドロジーは常にパラフィン切片への適応に努めてきた.この稿では最近注目されている癌遺伝子,癌抑制遺伝子蛋白の免疫染色について実例を挙げながら述べることにする.同一蛋白質に対する抗体でありながら,用いる抗体によって染色結果が陽性であったり,陰性であったりする場合があることは衆人の知るところである.その詳細はともかくとして,ユーザーとしてはパラフィン切片で染色可能な抗体を適切に選別できるかどうかが大きな分岐点となる.以下,代表的な3社から発売されている癌関連遺伝子蛋白の抗体でパラフィン切片で染色可能(と言われている)なものを紹介する.表1は抗体をその蛋白の機能から分類してまとめたものである.大別すれば癌遺伝子と癌抑制遺伝子の2種になるが,癌遺伝子はさらにc-erbB-2,EGF受容体といった受容体タイプ群,c-fos,c-junなどの核内転写因子群などに細分することができる.
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