入門講座 病理
パラフィン切片の伸展
内海 邦輔
1
1国立東京第二病院研究検査科
pp.501
発行日 1968年7月15日
Published Date 1968/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917247
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今回はパラフィン切片の伸展を中心に話してみよう。薄切りしたパラフィン切片は通常,まず水に浮かべておき,ついで温度をかけて伸展しつつ,スライドガラスに貼り付けるのである。パラフィン切片を伸展してスライドガラスに貼り付けるときには,組織切片が十分によく伸展し,かつ伸展し過ぎないこと,組織切片とガラスの間に雑挾物を入れないことの2点がもっとも大切である。
薄切りするときは通常,ミクロトームのそばに水を入れたシャーレを並べておき,薄切りしたパラフィン切片を一時その上に浮かべておく。この際パラフィン切片の厚さが適当かどうか,全面同じ厚さかどうか,途中で段ができていないかどうか,トラ苅り(段々ができる)になっていないか,メスの傷が出ていないかなどをざっと見る。悪い切片はどしどし捨てる。なお水に浮かべるとき,パラフィン切片の一端を水に着けると,自動的にパラフィン切片がのびて水面に浮かぶようでないと,切片は厚過ぎて役に立たない。巻紙のようにクルリと巻いてしまって,なかなか伸びないようなのは20μもの厚さと考えてよい。
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