トピックス
心筋炎の発症とサイトカイン
松森 昭
1
,
篠山 重威
1
1京都大学医学部第三内科
pp.605-606
発行日 1994年7月1日
Published Date 1994/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902075
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心筋炎は,多種のウイルス感染によって起こることが知られているが,ヒトではRNAウイルスが多く,特にコクサッキーウイルスは,ウイルス性心筋炎をきたす最も頻度の高い原因と考えられている.急性ウイルス性心筋炎の多くは,その急性期を過ぎれば予後は比較的良好であると考えられているが,少数例では慢性化し,進行性であることも報告され拡張型心筋症の病因として注目されている.
実験的ウイルス性心筋炎の研究はマウスにおけるencephalomyocarditis(EMC)ウイルスやコクサッキーBウイルスを用いた研究が多く行われ,急性心筋炎に続いて長期にわたり心筋の線維化などの病変が持続することが明らかになっている1).腫瘍壊死因子(TNF-α)は,主としてマクロファージから産生されるサイトカインで腫瘍,炎症において重要な作用を有すると考えられている.TNF-αは,ある種の細胞においてin vitroでEMCウイルスの増殖を抑制することが報告されインターフェロンを介した抗ウイルス作用が示唆された.筆者らの開発したマウスにおけるEMCウイルス性心筋炎において血中TNF-αは,ウイルス接種後上昇し,5日後に最高値を示した.
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