増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅵ.補体
3.補体レセプター
天野 哲基
1
1岡山大学医学部第三内科
pp.226-229
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901951
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■意義
主にマクロファージ系細胞や肝細胞から産生された各々の補体成分自身には生物活性はないが,種々の原因による抗原抗体反応や異種の膜あるいは凝固・線溶系の活性化の結果,しかけ花火のように次々と活性化されていき,生体にとっては有利となる小規模の炎症反応を起こし,最終的には原因となった異物の除去に働く.しかしながら,この炎症反応が異常に拡大すると生体にとっては不利なアレルギー病変を引き起こすことになる.これらの炎症反応は活性化された補体成分(補体成分の分解産物,例えば補体第3成分C3がICにより活性化されると流血中にC3aが放出され,IC上に,C3 bが形成され,さらにiC3 b,C3 dg,C3 dへと分解され,C3 c,C3 eが放出される)がいろいろな細胞表面に存在する補体レセプターに結合することにより初めて発現する1).現在までに表1に示すような補体レセプターが明らかにされており,基礎分野ではこれらのレセプターに活性化された補体成分が結合するのを阻害してアレルギー病変が起きるのを抑制するような薬剤の開発が進められている.
臨床分野で注目され,測定されている補体レセプターは補体第3成分(C3)の分解成分であるC3bに対するレセプターで,CR 1(complement receptor type 1)と呼ばれる.
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