増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅰ.ホルモン
2.甲状腺・副甲状腺
(7)カルシトニン
福永 仁夫
1
1川崎医科大学放射線医学(核医学)
pp.120-122
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901906
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■CT測定の臨床的目的
カルシトニン(calcitonin;CT)は,1960年代の初めに,Coppら1)により発見されたカルシウム(calcium;Ca)低下作用を持つ32個のアミノ酸から成るポリペプチドである.その後,CTはヒトでは神経外胚葉由来の甲状腺傍濾胞細胞から分泌されることがわかり,この細胞はCT分泌細胞つまりC細胞と呼ばれるようになった2).さらに,C細胞の腫瘍である甲状腺髄様癌では,CTを過剰分泌することが明らかにされた.
CTは,副甲状腺ホルモンや1,25(OH)2D3とともにCa調節ホルモンの1つであり,血中Ca濃度の恒常性に関与している.CTの主たる作用は,①骨に対しては骨吸収の抑制作用を示し,血中Ca濃度を低下させるとともに骨塩量の低下を抑制すること,②腎に対してはCaとリンの排泄を促進することが知られており,これらの結果,血中のCaとP濃度は低下する.その他の作用として,胃酸分泌を低下させ,中枢神経系に対する鎮痛作用が知られている.
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