増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅰ.ホルモン
2.甲状腺・副甲状腺
(3)TSH
須川 秀夫
1
,
森 徹
1
1京都大学医学部臨床検査医学
pp.107-109
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901902
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■TSHとは
甲状腺刺激ホルモン(thyroid-stimulating hormone;TSH)は,脳下垂体前葉にある好塩基性細胞(thyrotroph)から分泌されるペプチドホルモンの1つである.甲状腺細胞表面の受容体に結合し,その名の示すように甲状腺細胞を刺激し,細胞の増殖,ホルモン合成,サイログロブリン合成,ヨードの取り込みなどを誘導促進する.TSH分子の約15%は糖鎖からできており,αとβの2種類のサブユニットが非共有結合して分子量約28,000のTSH分子を構成している.黄体化ホルモン(LH),卵胞刺激ホルモン(FSH),ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)などのホルモンも同様にα,βサブユニットで構成されているが,TSHを含めこれらのαサブユニットは共通であり1),それぞれのホルモンが発揮する特異性はβサブユニットによって規定されている2,3).また,これらのαやβサブユニット単独では作用が発現されないことから,血中TSHを正確に測定するために,市販の測定キットにはTSHβサブユニットに特異的でかつ2種のサブユニットから正しく構成されている分子を測定できるような工夫が施されている.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.